『花だより(みをつくし料理帖 特別巻)』感想【小説】 (著者:髙田郁)

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澪が大坂に戻ったのち、文政五年(一八二二年)春から翌年初午にかけての物語。

店主・種市とつる家の面々を廻る、表題作「花だより」。

澪のかつての想いびと、御膳奉行の小野寺数馬と一風変わった妻・乙緒との暮らしを綴った「涼風あり」。

あさひ太夫の名を捨て、生家の再建を果たしてのちの野江を描いた「秋燕」。

澪と源斉夫婦が危機を乗り越えて絆を深めていく「月の船を漕ぐ」。

シリーズ完結から四年、登場人物たちのその後の奮闘と幸せとを料理がつなぐ特別巻、満を持して登場です!


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『花だより 』感想
(画像は、イメージですので、予めご了承ください。)



2014年に完結した「みをつくし料理帖」シリーズですが、その後、高田郁先生の作家生活10周年の記念作品として「花だより」が刊行されました。


本書は「つる屋」の主人・種市に始まり、種市に終わるよく出来た構成になっており、 短編ながら、どの作品も含蓄なある言葉に彩られた深い内容のものばかりで読み応えがあります。



表題作の「花だより」は、 澪が江戸で生活していた頃に世話になった市井の人物のオールスター総出演という感じで、 種市が澪に会うために大阪へと向かうことになるエピソードに絡めて、登場人物のその後が 描かれており、賑やかな雰囲気でストーリーが展開していきます。


第二話の「涼風あり」は 料理の道を捨てられない澪のために身を引いた小野寺数馬の結婚生活が描かれており、 このエピソードに登場する数馬の嫁である音緒という名の 糸を引いたかの如く細い目をした不愛想な顔つきをしているため、感情の起伏が表情に現れないため、屋敷の者たちからは 「笑わぬ姫君」と揶揄されているキャラクターが秀逸でした。


お互いに相手のことを大事に思ってはいても、互いにそれを口に出す性分ではないため、 会話のない夫婦生活を送っていた数馬と音緒が、数馬の亡き母が遺した「岡太夫が食べたい」という言葉をきっかけにして お互いが愛し、愛されていること再確認するという結末を迎え、こういう愛の形もあるのだなと思わされる内容でした。



第三話の「秋燕」は澪とともに大阪に戻って実家の「高麗屋」を再建した野江(あさひ太夫)のその後が描かれており、 本編では語られることがなかった「翁屋」以前の又次と野江の出会いが描かれ、二人がお互いにとって恩人の間柄だったことが 判明し、 本編において、なぜあれほど又次が、あさひ太夫を敬愛し、あさひ太夫を守るためならば人殺しさえやりかねないほどの従順さを抱いていた のかという理由が判明し、二人の苦界における繋がりの深さを思い知らされます。


話が進むうちに、番頭の辰助は、野江にとって第二の又次のような存在になっていき、その生きざまには男気を感じさせます。



最終話の「秋燕」において澪は、あいもかわらず、雲外蒼天の運命に翻弄され、不幸が舞い込みますが、料理を通してその不幸を乗り越えていきます。


病のために食欲を失くした夫・源斉のために、知恵を振り絞った澪が最期に辿り着いた料理が、源斉の母が源斉の子供のころに作って いた味噌汁というところが高田郁さんらしいなと思いました。


ちなみに本編最終話巻末付録の文政11年版料理番付では、四ツ橋の「みをつくし」という店の「病知らず」という料理が、 西の大関位を獲得していますが、その料理は、この時の経験に基づいたものなのではないかと勘ぐってしまいました。



余談ですが第三話の「秋燕」に登場した、当時の大坂にあった、「女名前禁止」(女は家持ちにも店主にもなれない)という規則は、 高田郁先生の次作『あきない世傳 金と銀』シリーズにも登場しており、この当時の時代背景へのこだわりを感じさせます。






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「みをつくし料理帖」(文庫)セット
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NHK総合の「土曜時代ドラマ」枠で、2017年にドラマ化
(画像は、イメージですので、予めご了承ください。)


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心をつくし、身をつくし・・・いつかきっと
大坂に生まれた天涯孤独な少女・澪(みお)が、料理の腕だけを頼りに江戸に行き、
艱難(かんなん)辛苦を乗り越えながら、やがて一流の女料理人になるまでの波乱万丈の物語。

■原作は、高田郁の累計部数300万部を超える人気時代小説「みをつくし料理帖」。
脚本に木曜時代劇「ちかえもん」で第34回(2015年)向田邦子賞を受賞した藤本有紀を迎え、
江戸の人情と笑い、数々の創作江戸料理とともに女料理人の成長を描く人情時代劇。

■ヒロインは、日本演劇界きっての若手演技派女優で、NHK初主演となる黒木華。
ドラマのラストでは、毎回、黒木華さん扮する澪が、ドラマで登場する趣向を凝らした料理の作り方を紹介!

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2010年にコミック化されました。
(画像は、イメージですので、予めご了承ください。)




1 黒_edited-2.jpg 【八朔の雪 みをつくし料理帖 コミック 全3巻 完結セット】

 
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【参考】 1 黒_edited-2.jpg
『みをつくし料理帖/高田郁 | 角川春樹事務所 』

『Wikipedia』




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