『黄色い下宿人』概要【小説】山田風太郎

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ホームズパスティーシュの傑作。

『黄色い下宿人』
【著者】山田風太郎

『日本版 ホームズ贋作展覧会〈上〉 (河出文庫) 』収録
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概要
(画像は、イメージですので、予めご了承ください。)


『黄色い下宿人』(きいろいげしゅくにん)は、山田風太郎による日本の短編小説。1953年(昭和28年)12月に『別冊宝石』に掲載された、シャーロック・ホームズ作品に対するパスティーシュ小説であり、ホームズの年譜を作った際に、ホームズの空白期間と漱石がロンドンに滞在していた期間が、たまたま重なっていることに気づき、両人を結び付ける着想を得たとされる。

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本編では、夏目漱石の「不愉快」だった留学生活での暮らしや漱石の持病である「追跡妄想」などのエピソードが漱石の著作から盛り込まれている。

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倫敦に住み暮らしたる二年は尤も不愉快の二年なり。余は英国紳士の間にあって狼群に伍する一匹のむく犬の如く、あわれなる生活を営みたり。 ・・・・英国人は余を目して、神経衰弱なりと伝えり。ある日本人は書を本国に致して余を狂気なりと伝える由。賢明なる人々の言う所には偽り なかるべし。
『文学論』より


『文学論〈上〉 (岩波文庫)』

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日下三蔵さんの解説によると、正典中で概要もしくは件名が言及されるだけの、いわゆる『話られざる事件』を扱った上に 、意外な探偵役まで配した本編は、ホームズ・パスティーシュとして最高レベルの作品であり、当時、原稿を受け取った 『宝石』編集部は、あまりの出来栄えに驚き、急遽、他の作家に発注して海外作家贋作特集を組んだそうである。
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【特集時の他の作品】 1 黒_edited-2.jpg
●島田一男『ルパン就縛』
(ルブラン)

●大坪砂男『胡蝶の行方』
(チェスタトン)
●城昌幸『ユラリュム』
(E・A・ポー)

●高木彬光『クレタ島の花嫁』
(ヴァン・ダイン)

(注)宝石:1946年4月創刊の当時の日本の推理小説界を代表する雑誌。
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本作で扱われた『話られざる事件』は、正典の『ソア橋』という事件の冒頭に記述されている一節がモチーフである。


このようなものは物語として構成するのが難しいだろう。なぜなら解決部分の説明が用意できないからだ。解答のない問題というの は研究者の興味を引くかもしれないが、間違いなく一般読者をいらだたせることになるだろう。 これらの未解決の話の中に、ジェイ ムズ・フィリモア氏の事件がある。彼は、雨傘を取りに自分の家に戻ったのだが、それ以来姿を消した。
『ソア橋』より


『シャーロック・ホームズの事件簿』






あらすじ
(画像は、イメージですので、予めご了承ください。)


1901年五月上旬の或る火曜日の夕方、 シャーロック・ホームズは知人であるクレイグ先生の隣に住む富豪が行方不明になった事件の解決を依頼される。クレイグ先生の下宿をおとずれたホームズは、居合わせた棗という名の日本の留学生を紹介されるのだが・・・


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物語の導入部を、かつてNHKで放送されていたグラナダTV製作の『シャーロックホームズの冒険』(主演:ジェレミー・ブレット)を イメージして描いてみました。 1 黒_edited-2.jpg






登場人物
(画像は、イメージですので、予めご了承ください。)

● シャーロック・ホームズ - ロンドンの名探偵。
● ジョン・ワトソン医師 - ホームズの相棒で活躍譚の記述者。
● 棗 - 日本の留学生。
● ウィリアム・クレイグ - 漱石の英国での恩師。

登場人物 黄色い 1.jpg 1 黒_edited-2.jpg





感想
(画像は、イメージですので、予めご了承ください。)

推理に関しては、若干、漱石びいきの感は否めませんがコナン・ドイルの世界に実在の人物である漱石が違和感なく溶け込んでおり、 非常によく出来た短編。 本作の出来が非常に良かったためか、以降の他作家さんの作品は模倣を避ける意味合いもあるのか変化球的な要素が多い。






漱石とホームズを題材にした著作


『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』
【著者】島田 荘司

英国に留学中の夏目漱石は、夜毎、亡霊の声に悩まされ、思い余って、シャーロック・ホームズの許を訪ねるのだが、ホームズが抱える難事件の解決に一役買うことになる。
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『吾輩はシャーロック・ホームズである 』
【著者】柳 広司

イギリス留学中の夏目漱石が心を病んで自分のことをシャーロック・ホームズだと思いこむ。下宿先の女主人から相談を受けたワトスン博士は、漱石と共に事件の謎に謎に取り組んでいくが・・・。
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【参考】 1 黒_edited-2.jpg 『黄色い下宿人』
『シャーロックホームズの冒険』(グラナダTV)
『Wikipedia』



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